「PL/CL 対応各種取扱説明書作成支援 〜 PL 対策の要点」 で記載する通り、製品に欠陥を出さない為に、即ち使用者の安全を守る為には、以下のステップを用いた危険分析と安全対策を行う必要があります。

Step 1 安全設計
      製品に “危険” が無いように設計・製作を行います。

Step 2 安全対策
      保護装置・保護ガードなど用いて、使用者を危険部からガードします。

Step 3 残存する危険に対して
      使用者に対し、潜在または残存する危険を明示し、危険を知らせます。

以下にPL法が適用された判例をご紹介致します。
これは特に上記 Step 2 及び Step 3 を軽視した為に発生した事例であり、 「PL 対策」 の重要性を物語っています。

フロントガラスカバーの設計上の欠陥による受傷事件

自動車用フロントガラスカバーについて製造物責任(PL)法3条の 「欠陥」 を認めた事例。
(仙台地方裁判所平成13年4月26日判決 控訴 判例時報1754号138ページ)

<事件の概要>

  X:原告(消費者)

  Y:被告(フロントガラスカバーの製造者)

  A:自動車用品販売店

(1)
Xは、平成11年1月上旬、A販売店から、Yが製造したフロントガラスカバー(Mサイズ、以下 「本製品」 という)を購入した。
本製品は、冬は凍結防止カバーとして、夏は日よけとして使用するもので、冬季には低温で暗い条件下で使用されることが予想される。
その使用方法は、本製品を自動車フロントガラス一面に広げ、左右のドアミラーに袋をかぶせ、金属製フック(最初の使用時に購入者が付属の固定ゴムひもに調 節して接続させる、直径約1.5mmの針金状の金属を左右約1cmのU字形に形成したもの)4個を、ドアの下のエッジ(サイドシルとフロアパネルの合わせ面)に掛けて固定する、というものである。

(2)
平成11年1月9日午後9時50分頃、X方駐車場において、本製品をX所有の軽自動車(以下 「X車」 という)に装着しようとした際、左眼を負傷する事故(本件事故という)が発生した。
Xが、X車のエンジンを止めて後部荷物入れから本製品を取り出し、本製品のカバーを掛けた後、ゴムひものフックをエッジに掛け、フックがきちんと装着されたか確認するため、しゃがんだままゴムひものフックの上10cmくらいの個所を触った瞬間、フックが外れ、跳ね上がったフックがXの左眼に突き刺さった。 本件フックは外れやすく、外れた場合には勢いよく跳ね上がることから、本製品の装着作業をしている者の身体を傷つける危険の大きい製造物で、欠陥があると し、Xは、製造物責任法に基づき、Yに対し、左眼角膜裂傷等による傷害(後遺障害として、視力低下、外傷性散瞳状態[常にまぶしさを感じるためサングラス をかけ続けなければならない]、角膜中央部に混濁が存在する、とする)等による総額4084万円余の損害賠償を求めた。

これに対し、Yは、

本製品のゴムひもを上から下への方向へ動かせばフックが外れることは構造上明らかであり、これをあえて上から下に動かす方向に触ったXの行動は、通常予想される使用方法の範囲内とは到底いえない。
本製品は、発売以来4年間で約3万8000個、サイズの異なるものを含めれば、合計8万8000個売り上げているが、消費者のクレームは本件のみであり、仮に本製品にクレームがあれば、同種事故が発生し、クレームが寄せられていたはずである。
などと反論したうえ、本製品をいったん装着した後ゴムひもを上下に動かせばフックが外れることは、本製品の構造上容易に理解でき、大幅な過失相殺がなされるべきである、とした。

<判決理由>
本件においては、次の事実が認められる。

本製品が、前記1で述べた使用が予想された使用方法の製品である。
本件フックは小さくて持ちにくく、国民生活センター商品テスト部の行ったモニターテストにおいても、7名のモニター中5名が 「本件製品のフックが小さくて 持ちにくい」 との意見を述べており、モニターの1名は、装着中、実際に手を滑らせてしまい、跳ね上がったフックが顔面に当たった。 また、フックの装着状態 の確認が困難である。 フックが外れた場合、跳ね上がったフックは勢いよく車両のルーフを超える高さまで跳ね上がるものであった。
さらに、同フックは、弾力性のないエッジ等に掛けた場合、荷重が板状のエッジ等に対して点でかかることになり、装着状態が不安定である。
本件事故の発生態様?Xは、フロントガラスに本製品のカバー全体を、サイドミラーにカバーの袋部分を掛けた。 次に、車両の右前の部分、右後ろ部分、左後ろ 部分に、フックを何度か手探りで繰り返した後掛けた。 最後に、しゃがんで何度か手探りをして、左前部分のエッジにフックを掛けた。 そして、フックの装着を 確認するため、しゃがんだままゴムひものフックの上10cm位の個所を触ったところ、フックが外れ、ゴムひもの張力で勢いよく跳ね上がったフックがXの左眼に突き刺さった。
本製品およびそのパッケージには、フックが体に当たる危険がある旨説明はなかった。
Yは本件事故後、フックをプラスチック製で先端が約2×3mmのものに変更した。
(そのほか、伸縮性のないベルトの先につけた吸盤によりサイドガラスに固定する他社製品の販売実績はあまりよくなかったこと、本製品は、別の会社の製品をほぼコピーして開発したもので、フックが外れた場合どの程度跳ね上がるか、フックが引っ掛かりやすいか、外れやすいか等の試験はまったく行われなかったこと、また、本製品は異なるサイズを含め累計で9万4000個が売られているが、本件のほかに苦情はなかったことも、事実として認定される。)
これらの事実によれば、装着者がかがみ込んでフックを掛けようとすることは当然であり、フロントガラス凍結等が予測される寒い時期の夜などには、フックが1回で装着できずに放してしまう事態も当然予測される。 フックを放した場合、フックが跳ね上がり使用者の身体に当たることも当然予想される。 ところが、本製品の設計に当たり、フックが使用者の身体に当たって傷害を生じさせる事態を防止するために、フックの材質、形状に工夫をしたり、ゴムひもの張力が過大に ならないようにするなどの配慮はほとんどなされていない。
本製品には、設計上の問題として、通常有すべき安全性を欠き、製造物責任法3条にいう 「欠陥」 を有しているといわなければならない。
また、Xは、かじかんだ手でゴムひもを触ったところ、たまたまゴムひもの上から下に押す形になったもので、Xが通常の予測の範囲を超えた行為に出たものとは認められず、Yの過失相殺の主張も理由がない。
(認容額約2855万円)


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