RoHS指令/REACH規則/WEEE指令は、いずれもEU圏における「環境・健康保護」に関する法令です。
それぞれの目的・適用対象・管轄などに関する違いは以下の通りです。
■ EU 3大環境法令 比較
| 項目 | RoHS指令 | REACH規則 | WEEE指令 |
| 正式名称 | Restriction of Hazardous Substances Directive (有害物質の使用制限指令) | Registration, Evaluation, Authorization and Restriction of Chemicals (化学品の登録・評価・認可・制限規則) | Waste Electrical and Electronic Equipment Directive (電気電子機器廃棄物指令) |
| 法形式 | 指令 (Directive) | 規則 (Regulation) | 指令 (Directive) |
| 目的 | 電気・電子機器に含まれる有害物質の使用制限による健康・環境保護 | 化学物質全般の管理・制限による人と環境の保護 | 使用済み電気・電子機器の回収・再利用・リサイクル促進 |
| 対象製品・物質 | 電気・電子機器に含まれる 特定有害物質 | EU域内で製造・輸入されるすべての化学物質 (原料・中間体・製品含む) | 廃棄された電気・電子機器(E-waste) |
| 規制対象物質 | 鉛・水銀・カドミウムなど 10物質 | SVHC(高懸念物質)・制限対象物質など数百種以上 | 物質ではなく「電気電子機器廃棄物(WEEE)」が対象 |
| 適用対象者 | 電気・電子機器の製造者・輸入者 | 化学物質を扱うすべての事業者(製造・輸入・流通) | 電気・電子機器の販売者・製造者など |
| 主な要求 | 製品中の有害物質濃度を規制値以下に保つ。 技術文書・適合宣言の作成。 | 化学物質の登録・評価・開示・制限への対応。 SVHC通知義務。 | 廃機器の回収・処理・リサイクル責任(プロデューサー責任) |
| マーキング要求 (適合証明) |
![]() | 特になし SVHCが含まれている場合は、製品の取扱説明書やウェブサイトなどを通じて消費者や取引先へ通知する必要あり |
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| 運用開始年 | 2006年(RoHS 1) 2011年(RoHS 2) 2019年(RoHS 3) | 2007年 | 2003年 (改正:2012年) |
| 監督機関 | 各EU加盟国の市場監視当局 | 欧州化学機関(ECHA) | 各EU加盟国 |
| 例 | スマホ・PC・家電などに含まれる鉛を0.1%未満にする | 塗料に含まれる鉛・プラスチックに含まれる可塑剤の登録・制限 | 廃PCや冷蔵庫のリサイクル・回収義務を果たす |
■ 各法令の役割分担
- RoHS指令 → 製品に「有害物質が含まれないように」する
- REACH規則 → 製品の原材料や含まれる化学物質そのものを「安全に使えるように」管理する
- WEEE指令 → 製品が使い終わったあと「正しく回収・リサイクルする」仕組みを整える
■ 法的な違い ~ 指令と規則
- RoHS ・ WEEE = 「指令」 → 各加盟国が国内法に変換して運用 (柔軟性がある)
- REACH = 「規則」 → EU全域で即時適用される統一ルール
≪ ケーススタディ ≫
◇ 質問:
上記3法令に対し、以下の例において「要求される具体的なポイント」について教えて下さい。
例えば、日本企業のAAA社が掃除機を開発しEU内で販売するとします。 AAA社に求められる対応事項は、掃除機が該当する「EU安全法令への適合対応」ですが、掃除機に該当するEU安全法令は一般的に「EMC指令」「LVD指令」そして「RoHS指令」です。
EMC指令やLVD指令への適合対応として、各種整合規格が求める設計・構造的な要求事項への評価や、各種技術資料の作成、それらをTechnical-Fileとして集約すること、そして安全法令への適合性を示すCEマーキングの貼付とその適合宣言書の作成等が必要です。
対し、REACH規則に対してAAA社はこれらの様な対応が必要でしょうか?
AAA社の立場としても、REACH規則及びWEEE指令への何らかの対応が必要でしょうか?
回答:
RoHS指令/REACH規則/WEEE指令に対し、AAA社がEUで掃除機を販売する場合に必要な対応事項は以下の通りです。
AAA社の法的立場
AAA社(日本企業)がEU域内の顧客(法人・個人)へ掃除機を販売した場合、法的には「輸出者」ではなく、「製造者(manufacturer)」または「輸入者(importer)」に準じる責任が求められます。
(販売方法や代理店契約によって異なるが、最終的にEUで「市場に出す」責任がある主体が対象)
◇ 法令ごとの対応義務 ~ AAA社がやるべきこと
| 法令 | AAA社に求められること |
| RoHS指令 | 掃除機に含まれる10物質が制限値以下であることを保証する 技術文書(Technical-File)を作成し、10年間保管する 適合宣言書(DoC)を作成しCEマーキングを表示する |
| REACH規則 | 製品中に含まれるSVHC(高懸念物質)が0.1 wt%以上ある場合、 ✔販売先(法人・個人)へ通知/情報を提供しなければならない ✔EU域内の顧客が要求すれば45日以内に無償で情報を提供しなければならない 製品が「意図的放出」をする場合(芳香・潤滑など) → 追加義務あり 通常の掃除機や家電製品では「登録」や「認可申請」は不要 |
| WEEE指令 | EU市場へ初めて製品を投入する「生産者」として、 → 各EU加盟国での登録義務あり(もしくは「EUAR」の指定) 使用済み製品の「回収・リサイクル責任(EPR)」への参加 シンボル表示(ごみ箱に×マーク)など製品表示義務あり |
◇ 詳しく見ていくと…
RoHS指令:
技術文書(Technical-File)に含めなければならない情報:
- 有害物質の含有率を示す分析結果 (例: XRF分析)
- 部品・材料の適合証明 (サプライヤーからのRoHS宣言書など)
- リスク評価やCEマーキングの根拠
CEマークの対象:
- RoHS指令はCEマーキング対象指令なのでCEマーキング適合宣言が必須。
REACH規則:
- 掃除機は一般に「成形品(article)」として扱われ、化学物質のような「登録」は不要。
ただし、次のような場合は注意が必要:
| 条件 | 対応義務 |
| SVHCが含まれており、濃度が0.1 wt%超 | 顧客・受領者への通知義務 (第33条) |
| 年間1トン超のSVHCをEUへ輸出する | ECHAへの届け出義務 (第7条) |
| プラスチック筐体やケーブルなどに可塑剤が含まれる | SVHC該当の有無の確認が必要 |
WEEE指令:
対象製品(2018年8月15日~):
2003年施行時の「対象製品 = 10分類化された電気電子機器(AC1000V以下およびDC1500V以下の定格電圧仕様)」に対し、2018年8月15日からは以下の6分類に再編されました(指令付属書IIIとIV)。
これにより、対象製品は一部の例外(軍事用機器/宇宙用機器/産業用大型固定工具/大型固定据付機器/輸送機器など)を除くすべての電気電子機器へと広がりました。
- 温度交換装置(冷蔵庫やエアコンなど、熱交換作用により対象物を加熱・冷却する装置)
- スクリーン搭載機器(モニターやスクリーン、および面積が100平方cm以上のスクリーンが搭載された機器類)
- 照明機器類(フィラメント電球を除く)
- 大型機器(外形寸法が50cmを超える家庭用電気製品、情報技術・電気通信機器、民生用機器、照明機器、音声・画像再生機器、電気電子工具、医療機器など)
- 小型機器(外形寸法が50cm以下の家庭用電気製品、民生用機器、照明機器、音声・画像再生機器、電気電子工具、医療機器など)
- 小型IT・通信機器(外形寸法が50cm以下)
なお、分別収集されたWEEEからはすべての液体を取り除くとともに、除去しなくてはならない物質、調剤および部品があります。 これは水銀を含む部品、電池、アスベストを含む部品などで、指令付属書VIIに列挙されています。
EU内に製品を初めて流通させる場合は、「プロデューサー登録」が必要です(※日本の製造者が自社ブランドで販売する場合を含む)。 方法は2通り:
- EU域内に法人を設立し、自社で登録する
- EU域内の代理人(EUAR: Authorized Representative)」を指名し、代理登録と義務履行を委託する
責任範囲:
- 回収・リサイクルスキームへの参加 (費用負担)
- 製品へのWEEEマーク表示 (「ごみ箱×マーク」)
- 年次報告義務 (流通台数・重量など)
結論: AAA社がEU内で掃除機を販売する場合に必要な環境法令対応のまとめ
| 法令 | AAA社の主な義務 |
| RoHS | 含有物質の管理 技術文書・適合宣言書作成 CEマーキング |
| REACH | SVHC含有の有無確認、該当すれば顧客通知(情報開示) |
| WEEE | EUでの 登録 or EUAR指定 製品表示 リサイクル責任者 |
補足: EMC指令/LVD指令 との違い
| 項目 | EMC / LVD / RED など | RoHS / REACH / WEEE |
| 分野 | 製品の安全性・機能性 | 環境・化学物質規制 |
| CEマーク対象 | CEマーキング必要 | RoHSはCEマーキング必要 REACH・WEEEは不要 |
| 適合方法 | 整合規格・試験・技術文書 | 化学物質の制限値・情報開示、登録制度など |
| 主体 | 製造者・輸入者 (設計責任者) | 製造者・輸入者 (物質管理・環境責任) |





